2016年3月12日土曜日

相手に届く伝え方



相手に届く伝え方

いとう・まこと 1958年生まれ。弁護士。日弁連憲法
問題対策本部副本部長。司法試験指導の伊藤塾塾長。
憲法の伝道師”として各地で講演。『やっぱり九条が
戦争を止めていた』『説得力ある伝え方』『深く伝
える技術』

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人が社会生活を送る中
で、「伝える」ことは欠か
玄」とができません。その
相手は家族や会社の同僚な
ど人によってさまざまだと
思います。ですが、なかな
か自分の意図したことが伝
わらずとまどったり、全く
違った受け止め方をされて
相手との関係がぎくしゃく
したり、悩んだ経験をみな
さんお持ちだと思います。
  

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  この「伝えることの意
味を辞書で調べてみると、
「ことばで知らせる。言い
知らせる」などとありま
す。しかし、単に相手に知ら
せるだけで伝わるのでした
ら、それこそパソコンなど
の機械を相手に情報を入力
するのとなんら変わりませ
ん。では、相手の心に届くよ
うな本来の意味での「伝え
る」とは、一体どのような
ものをいうのでしょうか。



 例えば学校の授業で、先
生がI方的にしゃべり続け
ているような講義に苦痛を
感じた経験を持つ方は多い
かと思います。他方で、人
気のある先生の講義をみる
と、生徒に授業を理解して
もらい、その上で生徒自ら
の意志で何らかの行動を引
き出そうとする工夫がちゃ
んとなされています。



他者の尊重が根本

 このように、本来の「伝
える」とは、相手の意思を
尊重し、相手の自主的な行
動を引き出すための働きか
けのことだといえます。


 そのため、自分ではどん
なに正しいと思っているこ
とでも、一方的に話すだけ
では相手にはうまく伝わり
ません。相手を自分とは異
なる存在として尊重してい
ないからです。


 日本国憲法では、第13条
で、これを「個人の尊重」と
定めており、私は憲法の講義
とは、「伝える」ということ
を考えるにあだっての根本
といってよいでしょう。


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 私は、日々講義で法律学
を教え、講演では、安保法
制、一人一票問題など、人
によって立場が分かれるテ
ーマを題材に話してきまし
た。講義では、知識ゼロの
生徒に理解させ合格まで導
かなくてはなりません。講
演では、さまざまな考えを
持つ聴衆に対し、いかに自
分の考えを理解してもらえ
るかをこころかけてきまし
た。私にとって、「伝える」
というのは、人生の重要課
題といっても過言ではあり
ません。


       他者の尊重が根本



 この連載では、難解なも
のを説明したり、立場の異
なる人を相手にしたりする
場合、いかに伝えればよい
か、いままでの講義や講演
で得られた気付きをもとに
みなさんにお話していきた
いと思います。


  (第一回終わり)

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